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【クトゥルフ神話TRPGシナリオ】狂惑の輪廻【シナリオ終盤】

自宅への再突入

これが最後のイベントへのトリガーとなる。たとえ管理人に警戒されていようとも、最後には押し通ることも可能だ。部屋に押入られた時の箱を探す目的で自宅に侵入すれば、そこで一定の時間をかけて箱を発見することができる。探索者が丁寧に突入タイミングを調整する姿勢を見せていない限り、それを発見すると同時に玄関の扉が開き例の新しい自分が登場する。

これを避けるためには、〈聞き耳〉で接近に勘づき、〈跳躍〉か〈登攀〉あるいはDEX×5で手早く箱を回収したのち〈隠れる〉で室内に隠れるか、DEX×5で部屋から逃げ出すとよい。以下に逃げ出した場合の展開とここで遭遇した場合の展開を整理する。ここで相手に遭遇すると、不利ながら交渉によって問題を解決することができる。しかしベストエンドに到達するためには、ここで逃走することが推奨される。

 

 

相手に気づけず遭遇してしまった場合

探索者の姿を確認すると、すぐさま見覚えのない新しい電話機で警察に通報する。探索者はこの段階では箱のありかを発見しているが、まだ取り出せてはいない(踏み台が必要だったなどしておくといいだろう)。

ここから警察官や管理者、知人を交えた推理ショーを開始しなければならない。クリアの条件は次の通り。

  1. 通報したのが現在の「わたし」(探索者でない方)と認める
  2. 現在の家の占有者は「通報者」であると認める
  3. 始め押し入ろうとされたとき、探索者が普通の服装であったことを確認
  4. つまり宅配物など存在しなかったと主張させる
  5. 宅配物が存在していて、その中に入れ替わりの証拠があると主張
  6. 実際に宅配物を取り出す
  7. これまでに集めた情報から、「通報者」が老人であるとして詰め寄る
  8. 最後に、4ヶ月よりも前の記憶について追求する

とはいえ、これらすべての行動を行う必要はない。合格点を6点くらいとして、一つ1点としよう。そして交渉系の技能に成功すれば2点を加算して、プレイヤーが思いつかなそうな要素を開示して補助し、アイディアに成功すればさらに1点を加算しよう。結果として、交渉系技能を3つ取得していれば高確率で何も考えなくともクリアできる。習得していなければ、対人能力はロールプレイで補うほかないために、プレイヤーの能力でどうにかしてもらおう(アイディアによる補助を忘れないように)。

 

相手に気づいたりあらかじめ対策したりして逃走できた場合

箱を持ち去った上で逃走に成功すれば、それを調べる時間を得ることができる。箱の中には次のものが入っている。

  • 探索者の調査記録(探偵と同じものに書き込みがある)
    大量の書き込みとメモが添えてあり、徹底的に研究していることがわかる。さらに書き込みの中には過去の事件についても言及されており、探偵以外の手段で探索者の人生を徹底的に調査していることがわかる(補足:探索者以上に探索者らしい探索者 参照)。
  • 皮膚について
    誰かと全く同じ姿に成り代わる呪文の研究。内容の把握に2時間、研究には4週間の期間が必要(SAN減少1D6)。習得する呪文は皮膚の制御(ルールブック279ページ)
  • 不老不死の研究
    寿命を延ばす魔術の研究。内容の把握に3時間。研究には2ヶ月が必要(減少SAN1D10)。習得する呪文は自己保護の創造(ルールブック258ページ)
  • “記録”
    ただ「記録」と書かれた紙。8つの名前が書かれており、8番目に探索者の名前、7番目に行方不明になった老人の名前が書かれている。

 

これらの記録を読むことで、相手の弱点が明らかになる。それは、相手が老衰を避けるために持ち歩いているという身体部位の切れ端を入れた袋だ(自己保護の創造 ルールブック258ページを参照)。これによって最終的な探索の目的は相手からその袋を奪い取り、その中身をぶちまけることに据えられる。

必要なのは〈組み付き〉だけだ。通常の打撃は魔術的防御によって回避されてしまう。魔術の詳細を知った状態で〈組み付き〉に成功すれば、探索者は彼が持ち歩いている爪や皮膚、髪などを入れた袋を発見する。奪い取ってこれを開封してぶちまけると、ひとつの結末に到達する。

 

結末

結末としては4つのものが考えられる。

 

(1)交渉による結末

交渉によって結末を迎えた場合、この人物が本当のところ何をやっている存在なのかは明らかにならない。相手はただ「面倒な性格だとは思っていたが、こんな調子だとこれからさき気楽にあなたを演じてもいられないようだ」と言って箱の中身をもう一度詰めると、それを持って部屋を立ち去る。去り際に「1ヶ月くらいはあなたのドッペルゲンガーを見たという報告があるかもしれないが、それ以外ではあなたとはもう関わらないから、安心しておいてくれ」と言い残す。

しかし探索者は、この経験を通じて次の恐怖を覚えることになる。友人の誰もが入れ替わりに気づけなかったこと、あのホームレスのような被害者が他にもいることを思えば、身の回りの人物は思いの外、絶え間なく入れ替わっているのかもしれないと。

 

(2)魔術解除による結末

魔術解除による結末は考えられる限り最もよい結末だ。すでに数百年の時を生き続けた魔術師は、袋の中身が放たれると同時に急激に老衰していく。自分と全く同じ姿をしていた人間の皮膚にシワが走り、筋肉がしぼんでいくと同時に体表面の水分が失われていく。次々に髪の毛が抜け落ちて頬も眼孔も凹んでいったかと思うと、声にならぬ叫びを残して灰色の萎みきったミイラが床に倒れ伏す。この光景を直視すれば、SANチェックは免れない(1D3 / 1D10)

遺体は現在の世界で把握されている誰のものでもない姿をしている。この死体を届け出るにせよ、自ら処分するにせよ、そう悪いことは起こらないだろう。探索者の部屋には、ミイラが残した爪や毛髪と、知るべきではない魔術が記されたノートが残されることになる。それらをどう扱うのか、それは探索者の判断に委ねられている。

 

(3)殺害

調査を行わずとも、徹底的に相手を攻撃することで、これを殺害することもできる。これが可能なことは一見してシナリオの脆弱性にも見えるかもしれないが、実際は違う。探索者が不用意に相手を殺害してしまった場合、相手はその姿が変容しないまま死亡する。これによって、探索者を殺害した身元不明者として探索者は逮捕されることになってしまう。

自分にそっくりな人間を殺害した精神錯乱者として、しばらくの間ウェブゴシップとなって世間を賑わすのかもしれない。

 

(4)新しい人生へ

もう解決など諦めてしまったらどうだろうか?

社会的身分などなくても、人間は生きていくことができる。ホームレスになってもいいし、闇社会で新しい身分を買ってもいい。国外に逃亡する手はずが整ったら、もっとましな未来も開けるかもしれない。そうした未来を選び取るのも、探索者の自由だ。新しい人生を歩みだした探索者には、祝福の言葉を贈ってセッションを結ぼう。

 

報酬

このシナリオを終了した探索者は、1D10のSAN回復を得る。

さらに魔術師の魔術の解除に成功した探索者は1D6のSAN回復を得る。

また、魔術の解除に成功した探索者は2%のクトゥルフ神話技能を得る。

このシナリオに4日以上の時間をかけたものは、収入ダイスを1減少する。

この場合、探索者は強制的に転職し、現在の職場での地位を失う。

 

展開によっては、二つの呪文を研究したノートを獲得することができる。

自己保護の創造・皮膚の制御

 

 

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